簡易帰化

特別永住者の帰化申請(簡易帰化)

特別永住者とは

平和条約国籍離脱者という言葉をご存じでしょうか。特別永住者となる者の範囲に関する基本的な概念となります。

平和条約国籍離脱者とは、終戦前から日本に在留するが、サンフランシスコ平和条約によって日本国籍を離脱した者として扱われた者であり、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」において定義されました。

第二次世界大戦中、日本の占領下となり日本国民となった朝鮮人、韓国人、台湾人の方々の中には、仕事を求めたり、比較的気候が穏やかな日本列島に移り住んだ人たちがいました。

それが一転、サンフランシスコ平和条約締結後、朝鮮半島や台湾が日本の領土ではなくなったことにより、本人の意思とは関係なく日本国籍から離脱した者(日本国籍を喪失)として扱われたのです。すでに、日本に移り住んでいた朝鮮人、韓国人、台湾人とその子孫について永住を認めた権利が「特別永住権」です。特別永住権を持った外国籍の方のことを、特別永住者と呼びます。

このような背景から、平和条約国籍離脱者(特別永住者)が日本国籍を望む場合は国籍法に基づき帰化をする必要があるのです。

2019年末時点での特別永住者は約31万人で、その98.8%が「韓国・朝鮮」国籍です。『日本統計年鑑』(総務省)

特別永住者の帰化申請とは(簡易帰化)

特別永住者の方の帰化申請は簡易帰化といい、一般の外国籍の方が帰化(普通帰化)するよりも、帰化の要件が緩和されています。

また、一般の外国籍の方とは違い、特に在日2世・3世の方々に関しては、自らの意思で国籍等を選択する権利もなかったという背景もあり、帰化申請が法務局で受理されれば、重い罪を犯したことがあるなど特別なことがない限り、ほとんどのケースで帰化が許可される傾向にあります。

特別永住者の帰化の要件

特別永住者の方が帰化申請をして、日本国籍を取得するためには、次の7つの要件を満たしている必要があります。まずは、セルフチェックしてみましょう。

特別永住者が帰化するための7つの要件(簡易帰化)

  • 居住要件
  • 能力要件
  • 素行要件
  • 生計要件
  • 喪失要件
  • 思想要件
  • 日本語能力

それぞれの要件を詳しく解説します。

居住要件

次のどちらかに該当すること。

  • 日本国民であった者の子(養子を除く)で引き続き3年以上日本に住所または居所を有するもの
  • 日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所もしくは居所を有し、又はその父もしくは母(養父母を除く)が日本で生まれたもの

引き続きとは、日本を出国していた期間が連続して90日以上、または年間100日以上日本から離れることなく日本に住み続けていることが必要です。

能力要件

18歳以上であり、本国法でも行為能力を有していること。

両親と一緒に帰化申請を行う場合や、両親の家父又は母(どちらか一方)が日本国籍である場合には、未成年であっても帰化申請を行うことが可能となります。

素行要件

素行が善良であること。

具体的には、年金、健康保険料、税金の未納がないこと、交通違反、前科、犯罪歴がないこと。

交通違反については過去5年間の運転記録証明書にて審査されます。駐車違反、一旦停止義務違反等、軽微な違反に関しては、数回違反があってもあまり問題になる事はありませんが、飲酒運転など悪質な違反に関しては、5年経過してから申請されることをおすすめします。

自己破産をされたことのある方の場合、復権してから7年経過している必要があります。

生計要件

自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことができること。

つまり、自身または生計を共にしている配偶者等、家族の収入によって、生計が成り立っていること。目安としては、手取りで月収20万円から22万円程度となります。

喪失要件

現在国籍を有せず、または日本国籍の取得によって現在有している国籍を失うべきこと。

日本国籍を取得した際には、本国籍を失うことができることが必要です。

思想要件

日本の政府は暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。

テロを企てたりしない、そのような団体に加入しない、反社会勢力ではないことが求められます。

日本語能力

小学校3〜4年生程度の日本語能力が必要

具体的には、日本語能力試験(JLPT)ではN3〜N4レベルがあれば大丈夫です。帰化申請後、審査官との面接があり、日本語で受け答えができること。

特別永住者の方は、日本生まれ日本育ちの方ばかりですので、日本語レベルに関しては心配ないことがほとんどです。

特別永住者の帰化申請の注意点

帰化の要件が緩和されていること、法務局で帰化申請が受理されれば許可される可能性が高いことをお伝えしましたが、帰化申請の手続きが簡単になったり、提出する書類が少なくなるという意味ではありません。

むしろ特別永住者の方が帰化申請を行う場合は、一般の外国籍の方に比べて、日本で暮らしている期間が長いため、集める書類が非常に多くなります。また、ご自身で申請される場合、本国の書類集めに非常に苦労します。

例えば、韓国人の方の場合、日本国内の韓国領事館で本国書類を取得することが可能ですが、韓国でのご自身の本籍地の情報が必要です。

→韓国での本籍地の確認方法はこちら

ご本人やご両親も日本で生まれた方の場合、韓国の本籍地がわからない、韓国語の読み書きができない(韓国領事館で取り寄せる書類は全て韓国語のため、日本語に翻訳する必要があります)

書類を取り寄せるために、分からないことを韓国領事館に問い合わせても、日本語があまり話せない人が電話に出ることがあります。

昔の韓国領事館は日本語が堪能な方ばかりというイメージでしたが、近年は片言の日本語の方も多く、日本生まれ日本育ちで韓国語が分からない特別永住者の方たちには、韓国領事館とのやり取りは非常にストレスを感じます。

自分で帰化申請をしようと決めた方の中には、本国の書類収集の時点で躓き、帰化申請を諦めてしまうこともあるようです。

特別永住者の方は、法務局で受付までたどり着くことができれば、多くの方が帰化を許可されています。

それは、歴史的な背景から、自らが選択して日本で生まれて日本で暮らしている訳ではないこともあり、なるべく帰化を認めてあげようという動きがあるためです。

そんな特別永住者の方が、書類収集や書類作成に躓いて帰化申請できないなんて本当にもったいないことです。

〈無料相談のご案内〉

帰化を希望する特別永住者の方がひとりでも多く、専門家のサポートを受けて日本国籍を取得し、新しい人生のスタートを切ってほしいと思います。

行政書士さくら法務事務所では、日本生まれ日本育ちの特別永住者の帰化申請を全力でサポートしています。初回相談は無料です。お気軽にご相談ください。完全予約制の為、まずはご予約ください。お待ちしております!

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